大手製薬会社の研究機関に配属になった場合、経験年数によっては年収1000万円も夢ではありません。薬剤師の資格を活かして余裕のある生活を目指したい方は、研究機関への就職も視野に入れて就活をしていきましょう。
ここでは、薬学部卒業生に占める研究機関への就職者の割合、研究機関で働く薬剤師のやりがい、メリット・デメリット、平均月収、1日のモデルスケジュールなどをご紹介しています。
「就職動向調査結果報告書」(薬事日報/平成30年)によると、薬学部の卒業生全体に占める研究機関への就職者の割合は約0.1%。意外かもしれませんが、実に1,000人に1人の割合でしか研究機関に就職していません。ちなみに薬学部卒業生の中でもっとも人気の高い就職先は、薬局です。次いで病院・診療所です。薬局への就職者の割合は卒業生全体の約36.3%、病院・診療所への就職者の割合は卒業生全体の約23.3%。研究機関への就職者とは比較にならない多さです。
ただし、この研究機関への就職者には、民間企業の人数が含まれていません。民間企業に就職した方の中には、企業内の研究機関へ配属される人も多いことから、実際に研究職に就いている方の比率は0.1%っよりも多いと推測されます。
大学や公的機関の研究機関の薬剤師は、かならずしも高給とは言えませんが、仮に大手製薬会社に就職して研究部署に配属となった場合、給料や生涯収入はグッと高くなる可能性があります。業種を問わず薬剤師全体の平均年収は500~600万円ほどと言われていますが、大手製薬会社の研究職の場合、平均年収は700~900万円ほど。博士号の学位を取得していれば、より給料が高くなる可能性があります。
薬学部の学生にとって、研究職は花形の職業です。大学であれ公的研究所であれ製薬会社であれ、研究職として働いていきたいと考える薬学部生は、潜在的には多くいることでしょう。憧れの職場である以上、就職が狭き門となることは必至。4年制学士ではなかなか就職が難しく、6年生学士や修士よりも博士が優遇採用となる傾向があります。
薬学部で学んでいる方ならご存じの通り、研究の種類によっては手を止めることができないものもあります。手を止められないので徹夜で研究室に居たことがある、という学生も多いのではないでしょうか。この傾向は、学生でも社会人研究者でも同様です。徹夜する例は極端ですが、長期間にわたってプライベートを優先できない日々が続くこともあるでしょう。
先にご紹介した通り、大手製薬会社の研究職の平均年収は700~900万円ほどです。もとより、この年収はあくまでも平均なので、勤務年数や職位によっては年収1000万円を超えることも珍しくありません。他の業界で働く薬剤師と比べ、生涯年収が大きく異なってくるでしょう。
研究員は朝早く出社することが珍しくありません。
厚労省に医薬品承認申請を行うための実験・試験を行います。
午前と同様、午後も会議や打ち合わせ、外回りなどのさまざまな業務が入ります。
1時間ほど昼食・休憩時間となります。
午前中の実験の続きを行います。
研究員同士で会議・打ち合わせを行い、医薬品承認申請に向けた足並みを揃えます。
試験報告書など各種の資料を作成したり、必要な調べものをしたりします。
一日の業務を上長に報告して業務が終了します。
給料の高さが大きな魅力の研究機関ですが、その仕事は決して楽ではありません。むしろ、仕事がハードだから給料が高くて当然とも言えます。研究機関への就職を希望している方は、メリットとデメリットを十分に比較しながら検討していく必要があるでしょう。なお当然ですが、研究機関では薬の調剤を行う機会はありません。そのため、薬剤師としてのキャリアを積むこともできません。仮に製薬会社の研究機関で実績を残した後、事情があって薬局への転職を考えたとしても、薬剤師業務の経験者として扱われない可能性がある点にご注意ください。
薬剤師としてのキャリアパスを描いていきたい方は、研究機関ではなく薬局への就職をおすすめします。